『ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX』(ポケダンDX)の感想

3月6日、ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX』ポケダンDX)の製品版が発売された。

 

今作は2005年発売(え?2005年?うそでしょ?)のポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊/青の救助隊』のリメイク作。

ガキの頃、『赤の救助隊』を遊びまくった者としては、もう期待しかなかった。発売数週間前にあらかじめDLを行い、準備を万全にこの日を待ったのである。

 

発売から1週間が経った現在はストーリーをクリアし、やり込み要素に手を出し始めた段階。とりあえず一通り遊んだ状態で、改めて今作はどのような点が変わっているのか、面白いのかどうか振り返っていきたい。

 

ちなみに筆者のポケダンプレイ歴は赤の救助隊、マグナゲート。ポケモン本編は全世代プレイしている。

 

 

 

 

1.グラフィック

まず目を引くのはグラフィック。

今作は絵本調のグラフィックで構成されている。ドット絵だったリメイク前とは大きな違いである。ちなみに、ドット絵はキャンプ(ポケモンの待機場)で見ることができる。

かといって見覚えがないなんてことはなく、2005年当時の面影を色濃く残している。

 

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いい意味で全然変わっていない。ノスタルジーが染み入ってきて、体験版開始2分で泣きそうになった。BGMも忠実なリメイクだ。当時プレイした方々にはぜひ「天空の塔」とか聴いてほしい。

 

ストーリーも改変がほぼない。追加要素もない(便利な要素はかなり増えた)。当時の記憶をなぞっているようでちょっと感動。裏を返せば代わり映えがないともいえるが、ポケダンは良質なストーリーで有名だから、古典として考えればあまり気にならないか。

 

 

2.雰囲気そのままに便利に

ただし、これらはストーリーの話。システム面はかなり変更点がある。

まず便利な点から。

キャンプ前にペリッパー連絡所のショートカットが追加、編成を保存できる、「かしこさ」を一新、「がくしゅうそうち」機能が追加されて仲間を育てやすい、ダンジョン内のポケモンが仲間になりやすい(道中を数で押せる)などなど…。

分かりやすく、遊びやすくなっており、まさに現代っぽく進化したといえる。正直、リメイク前はやり込んだとはいえグミや育成の仕様は面倒だったし、編成も手間なのでほぼリザードンライチュウ(当時の主人公)で出動していた。便利になることで遊びの幅が増えるのは嬉しい。

 

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便利になってヌルゲー化したと聞くが、そうとも思わなかった。簡単になった部分もある一方、難しくなった部分もある。

中盤の「炎の山」ではコータスのひでり(当時はない)からの晴れ下「はじけるほのお(4マス先まで届く)」でパーティが全滅したこともあった。リメイク前にない「だいちのちから」「あやしいかぜ」がめちゃくちゃ強い。終盤のボスは新要素を得て強力になっており、プレイヤーの厚い壁となって立ちはだかる(救助されやすくなったのが救いか)。「どこがヌルゲーだよ!」と憤慨したこともしばしば…。とはいえ、総量としては易し目になった印象。クリア後が本番のようなところもあるし、それまでは練習と捉え、易しくしてもいいと思う。

 

 

 3.探検の仕様変更

そして、探検のシステムもリメイク前とだいぶ違う。

そもそもバトルのルールが『サン・ムーン』に準拠している。リメイク前が『ルビー・サファイア』準拠であることを考えると、相当飛躍している。

例を挙げるとキリがない。新技がかなり増えた、特性も増えた、技ごとに物理・特殊が分かれた、フェアリータイプがいる(タイプ変更した)、耐性が変わった、メガシンカできる…これらを取り入れるだけでもバランスが変わるだろう。おかげで、4世代以降で連続技の鬼と化したパルシェンヘラクロス、広範囲技を多数習得したフライゴンが脅威の出世を遂げている。

 

操作性は大きく変わっていた(過去作の変更点を引き継いだようだが)。

なんといってもAボタンの通常攻撃廃止により、空振りは(できないことはないが)かなりやりづらくなった。戦うのに必ず技を使わなければならず、ピーピーリカバーの重要性が増した。

また、プレイヤーの進行方向に味方ポケモンがいる場合、すれ違わず進行方向に1マス押すようになった。押した味方はターンを消費しないのですぐ攻撃できるが、おなかを消費する。味方の位置を意図的に変えることができバトルの戦略性が増した一方、やむを得ず通路などで押しまくるとガンガンおなかを消費してしまうため、これまたリンゴが必要になってくる。

 

アイテムの消費量は確実に増えた。特にリンゴは、ダンジョンで倒れているポケモンにあげ、仲間にできるシステムが追加され、消費ペースがかなり速い。持ち込むアイテムを厳選する、アイテムを拾う、使うまでが戦略だと考えれば悪くないかもしれないが、本家『不思議のダンジョン』よりお手軽な面を買っていたプレイヤーには不満に映るだろう。

 

余談になるが、足踏みが廃止されたと勘違いされている方もいらっしゃるが(というか私)、A+BからR1+Aに変更になったらしい。技の配置変更、AIが使う技のチェックなど、操作がかなり煩雑になっている。ゲーム内の説明不足も否めない。攻略サイトや公式ホームページなどで一度確認しておくとよいだろう。

 

 

4.癖になる、ゲームらしいゲーム

クリア後は、ステータスを永続的に上げる、いわゆるドーピングアイテム(タウリン、いのちのタネなど)が大量に手に入るらしい。これで育成の手間が省け、好きなポケモンで冒険しやすくなった。進化によるステータスアップも控えめなので、強いてやる必要もない。あえて進化させず、ドーピングでムキムキにした自分の推しで旅することもポケダンではできる(技範囲が狭くなるなど、不便はあるだろうが)。

 

そして、「かしこさ」廃止の代わりに「すごわざ」という仕様が追加されている。

「かしこさ」同様ダンジョン攻略を楽にする特性を付与できるのだが、選んで付けることができない。グミを与えることで新たな「すごわざ」を抽選し直すことができる。要はガチャである。ガチ仕様のポケモンを狙う場合、大量のグミと運が必要になってくる。

 

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ドーピングアイテム、グミを手に入れるためにはそう、ひたすら救助や探検に赴くしかない。周回である。救助の報酬を元手に、より凶悪なダンジョンに歩みを進めたり、推しポケモンを強化したりする…そして確実に強くなっていく。成長を積み重ねていく、まさにゲームらしいゲームなのである。

ダンジョンの階層が長く、1回で長い時間遊べるのが癖になる。私も時間を忘れて遊んでいる最中だ。「ソーシャルゲームより健全だろ!」と叫びそうになったが、今のところソシャゲより時間を費やしているのでそんなことは言えない。

 

5.終わりに

総評すると、今作はちょっとした不満点は残るものの、便利になり正当派ゲームに進化した古典的作品である。

ストーリーやダンジョンなど、いわば「ガワ」は変えないまま、システム面にかなりのテコ入れを行なっている。概ね便利になっているが、通常攻撃の廃止、足踏みのボタン変更などこれはどうかと思う変更もあり、当時のまま遊べるかというとそうではない。

 

私はリメイク前をめちゃくちゃやりこんでいたが、それでも高難度ダンジョンを踏破することはかなわなかった。約15年(!) 経った今なら、大人の狡知とリメイクの改良点を駆使し、全制覇を狙えるかもしれない。ガキだった自分の雪辱を晴らすため、全力で頑張ってみようと思う。