筆者はゲーム「モンスターハンター」シリーズのプレイ日記『逆鱗日和』シリーズおよび作者・大塚角満さんの大ファンである。いや、大大大ファンである。
この作品と出合ってかれこれ10年以上経つが、その気持ちは衰え知らず。筆者の文章のスタイルも、『逆鱗日和』によって形作られていると言っても過言ではない。10年前(当時中学生)、死ぬほどどうでもいい身内ネタとか書いたファンレターをエンターブレイン宛に送ってたなぁ…(黒歴史)。現在氏が投稿している「パズドラ」「ディアブロⅢ」もプレイしているので、ネタも分かるし毎日欠かさずチェックしている。残念ながらネコは飼っていない。
氏は2017年にファミ通を退社、独立し、株式会社アクアミュールを設立。ブログや記事の執筆のほか、シナリオライターなどの作家業も行っている。将来はフリーランスのライターを漠然とした夢に掲げている筆者にとって、この独立は衝撃的だった。
「あなたはどこまで憧れであり続けるんだ!!」
と。ますますファンになりましたね。
それを知った時、「東京に行く用事があれば、ついでにオフィスを見学できないだろうか?」という気持ちが湧いてきた。オマケっぽい書き方なのは、絶対無理だと思っていたから。だって、面識のない人が「職場行っていいスカ?」なんて言ってOKもらえるわけないでしょう!!でもでも、許されるならぜひ10年憧れ続けたひとの仕事環境を一目見ておきたい…!
まあ連絡するだけならタダだし、とダメ元で一報入れてみた。とはいえ、今思い起こすと、返ってくる保証もない1通のビジネスメールに3時間くらいかけた気がする(苦笑)。最悪の方に考えていた自分の予想と裏腹に、送った当日に返事が返ってきた。
「喜んでお受けします」
ええー!!いいんですか!?
動悸を抑えつつ、「はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」と丁寧に返事をし、緊張の一瞬に備え色々と考えはじめたのだった。
6月某日。
その日は大雨が降っていた。しかも定刻まで東京観光していたため、かなり濡れてしまった。替えまで濡れてしまいどうしようもなく、申しわけなさを覚えつつ定刻15分前にはオフィス前に到着。早くても失礼だろうと思い、周りをうろうろしながら時間をつぶした(不審者)。定刻5分前、お土産を片手にオフィスのインターホンを鳴らすと、すぐに快活そうな女性の声で「はーい!」と聞こえた。
こ、これは「”同僚の美人ドSゲーマー・Tさん“ことたっちー」さんの声では!?
心臓の鼓動が早まる。ま、まさかブログ常連のあのたっちーさんが…!?いや、もう怖い!顔を合わせるのが怖い!心臓をバクバクと高鳴らせながら指定された階に行くと、たっちーさんらしき人がドアを開けて待ってくれていた!”美人ドSゲーマー”の肩書き通り、(疑っていたわけではないが)本当に美人だったからすぐに分かった!
「お待ちしてました~!」とにっこりするたっちーさん。ひいぃ!畏れ多いですぅ!ごめんなさい!(謎のテンション)
口から心臓が出そうになるのを抑えながら、「本日はお世話になります!」と堅苦しく挨拶を交わし、中に入れてもらった。
さっぱりとした、綺麗なオフィスだった。そこに足を踏み入れる濡れ男。この日が雨であることをこれほどまでに恨んだことはない(その節は申し訳ありませんでした)。奥に進むと、そこには見慣れたお姿が…!
「大塚さん…ッ!!」
ああ、憧れの存在が目の前に!本物なんだ!本物の大塚さんなんだ!高まりがピークに達し、思わずグッと胸を抑える。「大丈夫ですか!?w」と言われつつ、歓迎されていることを嬉しく感じたのであった。
最初は社会人っぽく名刺交換をし、真面目なお話をさせてもらった。「パズドラの名刺しかないんすけど…」と申し訳なさそうに話されたが、いや、それがいいですッ!!と漏らしそうになってやめた。そうか、自分がパズドラーであることは知らないんだっけ。確かに、こちらの素性は全く知らないんですものね。こちらが一方的に知りすぎているので、大塚さんもこちらのことを少し知っていると勘違いしていた(アホ)!「ユーザーIDが書いてあるけど、ネットにあげたりしないでね」と言われたが、現在自分から公開しているな!
その後、職場環境(デスク)を見せてもらえることに。4畳ほどのスペースには仕切りはないが、ざっくり縦に二等分して大塚さんとたっちーさんの持ちスペースとしているように見えた。
「ファミ通時代から姿勢が悪いことで有名で、独立したらいっそ突き詰めてやろうと思ってね」
と語った大塚さんの仕事用デスクは、一般企業の職場では到底許されないレベルのリクライニングチェアを使用していた。もはや「座」ではなく「寝」。角度でいえば、歯医者さんのそれに近い。モニターも口内を照らすライトのごとく自由に動かせるらしい。あまり似てはないが「ドラゴンボール」のフリーザ第一形態みを感じた。こりゃすげぇ…。たっちーさんはいたって普通の姿勢だったが、デスクではスリッパを脱ぎ裸足(?)で仕事をしていた。職場でもスリッパを脱ぐ程度ならよく見かけるが、裸足はそうない。なるほど確かに、これはフリーランスの特権かもしれない。
大塚さんのスペースっぽい場所はレンガ調の壁紙を貼っており、読者であれば「ああ、いかにも大塚さんが好きそう…」と感じるワイルドな部屋(スペース)模様となっていた。一方たっちーさんのスペースはキャラクターのグッズ(名探偵コナンとか)で埋め尽くされていて、ブログで語られるあの感じそのまま。若干大塚さんのスペースが侵略を受けつつある気はしたが、実に対照的で面白かった。
仕事環境の見学後はこれまた社会人っぽく話をした後、ひと段落がつくと(自分が勝手につけたのかも)、
「あの、パズドラとかディアブロもやっていて、パズドラ部も魔界地図も欠かさず見てます」
と、純粋にファンであることをぶつけた。すると、
「え、そうなんだ。じゃあ(パズドラの)ランクとか聞いてもいいかな…?」
と聞かれたので、元気に
「(当時)970です!!!」
と忖度なく、猛者であることをアピールした。大塚さんはそれを聞いて「うっはwずいぶん上じゃんww」とたいへん驚いているようであった。まあ、金にブイブイ言わせてた時期があるので…はい…。
それからはパズドラのこと、その他ゲームのことをたっぷりとお話しさせていただいた。傍から見ていたたっちーさんにオフィス見学に来といて何しとんの…と呆れられていたかもしれないが、これくらいしか正気で話せる話題がなかったのでつい!ごめんなさい!元ファミ通の編集長の御仁に知識でかなうべくもなかったが、本当に楽しい時間でした。
夢のような時間もあっという間。飛行機に間に合うギリギリの時間が迫っていたので、おいとまさせてもらうことに。
ありがたいことに、最後までお二方に見送っていただいた。
最後に大塚さんが「ネットに『大塚はいい人だった』って書いといて!」と言っていたので、ここに書いておきます(本当にいい人でした)!!この度は本当にありがとうございました!
なお、飛行機の時間にはギリギリ間に合ったのだが、チェックインを忘れていて乗れず。空港で10時間以上立ち往生する羽目になったとさ…(苦笑)。今では笑い話(と教訓)にしているものの、当時は人生で一番といっていいほど凹んだ(マジで)。気持ちの浮き沈みが激しい一日でしたとさ。
終わりに。
途中ゲームの話が差し込まれているが、田舎者にとって大塚さん、たっちーさんの仕事ぶりはたいへん参考になった。しかも、この働き方は都会では珍しくないということで、田舎との差をまざまざと見せつけられた。私は現在組織の下で働いている。仕事で頑張りたいミッションもあるのでちょっと難しいが、いずれはこうなりたい…!
それと、完全に私情であるが、大塚さんに会えたことが何よりうれしかった。先述の通り10年前、筆者は中学生だった。ちょうど中二病の真っ盛りで、書くこともためらわれるが正直自分はなんでもできると思っていた。当時書いた「実現したいことリスト」には「アイドルと直に会う」「芸能人と遊ぶ(確か次長課長の井上さんと、モンハンで)」などとんでもないことばかり書いていた覚えがあるが(九州のド田舎暮らしだったので到底無理なのです)、その中に
大塚角満さんに会う、遊ぶ
と書いていたのだ。ある意味身の程をわきまえるようになった高校生、大学生の頃は「あんなこと書いてたけど、無茶だよなwアホだったなw」と黒歴史の代表格として考えていたが、こうして社会人になってから実現している。無理だと思っていた夢が一つ叶っているのだ(遊んではいないが)。だから、
「夢はいつか叶うかもしれないから、いや大人になってから知恵と力と時の流れでなんとかなるかもしれないから、諦めるな!!」
と、中二病の自分に伝えたい所存です。10年ファンでい続けるってのも重要だけど。
大塚さん、たっちーさん、この度は本当にありがとうございました!またいつか、お土産でも持っていかせてください!(笑)